○貯水槽水道の管理に関する指導要綱
平成15年2月21日
告示第1号
(趣旨)
第1条 この要綱は,三芳水道企業団給水条例(平成10年条例第3号)に基づき,三芳水道企業団(以下「企業団」という。)の給水区域内に設置された貯水槽水道に関し,企業団が行う設置者等に対する指導等及び利用者に対する情報提供について必要な事項を定めるものとする。
(1) 法 水道法(昭和32年法律第177号)をいう。
(2) 法施行規則 水道法施行規則(昭和32年厚生省令第45号)をいう。
(3) 条例施行規則 三芳水道企業団給水条例施行規則(平成10年規則第6号)をいう。
(4) 水道施設 法第3条第8項に規定する水道施設をいう。
(5) 簡易専用水道 法第3条第7項に規定する簡易専用水道をいう。
(6) 貯水槽水道 法第14条第2項第5号に規定する貯水槽水道をいう。
(7) 貯水槽 貯水槽水道内に設置される受水槽,高架水槽(高置水槽)その他の水槽の総称をいう。
(8) 担当者 この要綱により指導等及び情報提供に関する事務を担当する企業団の職員をいう。
(9) 設置者等 貯水槽水道を所有する者又は貯水槽水道の維持管理の責任を有する者をいう。
(10) 利用者 貯水槽水道から給水を受ける者をいう。
(11) 衛生行政を所管する地方公共団体の機関 館山市又は南房総市をいう。
(12) 関係市 館山市及び南房総市をいう。
(13) 指導等 指導,助言及び勧告をいう。
(基本的事項)
第3条 この要綱による貯水槽水道の設置者等への指導等は,適切な貯水槽水道の管理の確保がなされるよう企業団が貯水槽水道への水の供給者としての立場から行うものであって,担当者は,管理責任の不明確さ,指導等に対する拒絶又は不適切な管理の状況等を理由に給水停止等の制裁的な措置を行ってはならない。ただし,企業団が行う衛生行政を所管する地方公共団体の機関への通報及び利用者への情報提供は,制裁的な措置に含まれないものとする。
2 企業団は,貯水槽水道の管理(第11条に規定する水質検査を除く。)については,有償によるか無償によるかにかかわらず,これを受託しないものとする。
(貯水槽水道台帳)
第4条 担当者は,給水区域内の貯水槽水道の設置及び管理の状況を把握するよう努めるとともに,これらについての記録を保存するため次に掲げる内容を記載した貯水槽水道台帳を整備するものとする。
(1) 貯水槽水道の種類及び管理基準
(2) 設置場所
(3) 設置者等の氏名(名称)及び住所(所在地)
(4) 設置年月日及び廃止年月日
(5) 全体の概要図
(6) 貯水槽の有効容量,規格,材質及び設置形態
(7) 管理及び指導等の状況又は利用者への情報提供等に関する記録
2 前項第1号に掲げる貯水槽水道の種類は,簡易専用水道又は簡易専用水道以外の貯水槽水道の別とし,管理基準は,種類の区分に応じそれぞれ法施行規則第55条又は条例施行規則第26条に規定する基準の別とする。
3 第1項第1号に掲げる貯水槽水道の種類が簡易専用水道以外の貯水槽水道である場合は,併せて千葉県小規模水道条例(昭和37年千葉県条例第10号)第2条第2項に規定する小規模簡易専用水道の該当の有無を記載するものとする。
4 廃止を確認した貯水槽水道台帳の保存年限は,3年とする。
(設置者等に対する指導)
第5条 担当者は,貯水槽水道の設置者等に対し,当該貯水槽水道を適切に管理するよう啓発に努めるものとする。
2 前項に規定する啓発は,パンフレットの配布,関係市の広報誌又はホームページへの掲載その他の方法の中から適当と思われる方法を選択して実施するものとする。
3 前項に規定する啓発方法のうち,パンフレットの配布又は関係市広報誌への掲載の方法による場合は,毎年1回程度実施するものとする。ただし,設置の際にパンフレットを配布済みで,かつ,設置から1年に満たない貯水槽水道にあっては,この限りでない。
(設置者等に対する助言)
第6条 担当者は,設置者等から貯水槽水道の管理に関する助言を求められたときは,これに応ずるものとする。
2 前項の場合において担当者が行う助言は,文書によることを要しないものとする。
(1) 水槽の清掃方法及び清掃業者の紹介
(2) 汚染防止のための水槽等の点検方法
(3) 水質異常時に必要な水質検査項目の提示及び検査機関等の紹介
(4) 汚染時に講ずるべき給水停止等の措置方法
(5) 管理に関する検査機関等の紹介及び自主検査の方法
(1) 水槽の清掃に関する助言 3か月(設置後1年を経過しない場合を除く。)
(2) 汚染防止に関する助言 3か月
(3) 水質異常時の水質検査に関する助言 1か月
(4) 汚染時の措置に関する助言 1日(必要と認める場合は,即時)
(5) 管理に関する定期検査又は自主検査に関する助言 3か月(設置後1年を経過しない場合を除く。)
2 事務局長は,前項の規定による具申に基づき必要と認めた場合は,文書により改善措置の実施等に関する勧告を行うものとする。
3 事務局長は,前項の規定により改善措置の実施等に関する勧告を行った場合は,衛生行政を所管する地方公共団体の機関へ通報し,必要と認めたときは当該貯水槽水道の利用者に通知するものとする。
4 事務局長は,第2項の規定により勧告を行った場合は,その設置者等に対し改善措置の実施状況に関する報告を求め,また衛生行政を所管する地方公共団体の機関に対し当該機関が行った指導等の内容及びその結果の報告を求めるものとする。
(立入調査)
第8条 担当者は,次の各号に掲げる場合で必要と認めたときは貯水槽水道の管理の状況について立入調査を行うものとする。
(1) 設置者等から貯水槽水道の管理に関する助言を求められたとき。
2 前項に規定する立入調査は,その貯水槽水道の設置者等の立会いを得て実施しなければならない。ただし,担当者が緊急を要すると認めたときは,この限りでない。
(1) 施設の外観調査
(2) 給水栓における水質の検査
(3) 書類調査
5 前項の場合において担当者は,管理状況に不適切な事項があると認められたときは,結果の通知に併せてその状況を改善するための適切な助言を行うものとする。
(汚染時の措置)
第9条 担当者は,前条第1項の規定による立入調査により,その貯水槽水道の給水する水が人の健康を害するおそれがあると認めたときは,直ちに管理基準に定める措置を実施するよう設置者等へ助言するとともに,衛生行政を所管する地方公共団体の機関へ通報しなければならない。
2 前項の場合において担当者は,設置者等又は衛生行政を所管する地方公共団体の機関から汚染原因の調査又は除去のための協力要請があったときは,これに応ずるものとする。
(利用者に対する情報提供)
第10条 担当者は,利用者から貯水槽水道の管理状況等に関する情報提供の請求があった場合は,速やかに文書でこれに応ずるものとする。ただし,利用者から文書によることを要しない旨の申し出があった場合は,この限りでない。
2 前項の場合において利用者からの情報提供の請求は,文書によることを要しないものとする。
(水質検査)
第11条 担当者は,利用者から貯水槽水道の水質検査の請求があった場合は,速やかに検査を実施し,その結果を請求者に通知するものとする。ただし,その請求が請求の具体的要件に欠けると判断されるものについては,この限りでない。
2 担当者は,設置者等から貯水槽水道の水質検査の請求があった場合は,速やかに検査を実施し,その結果を請求者に通知するものとする。ただし,当該貯水槽水道が次の各号に掲げる事項のいずれにも該当する貯水槽水道でない場合は,この限りでない。
(1) 簡易専用水道以外の貯水槽水道であること。
(2) 条例施行規則第26条第1号アに掲げる基準により管理されていると認められること。
(身分証明書)
第12条 担当者は,その身分を示す証明書を携帯し,かつ,利用者,設置者等又はその他の関係者から請求があったときは,これを提示しなければならない。
(水道施設整備計画)
第13条 事務局長は,貯水槽水道が直結給水方式へ移行するために必要な水道施設の整備計画を作成するものとする。
(関係機関との連携)
第14条 事務局長は,企業団がこの要綱による貯水槽水道の管理に関する指導等又は情報提供を実施するに当たり衛生行政を所管する地方公共団体の機関との連携を図るものとする。
附則
この要綱は,平成15年3月1日から施行する。
附則(平成18年3月9日告示第4号)
この要綱は,公示の日から施行する。ただし,第2条及び第3条の改正規定は,平成18年3月20日から施行する。
附則(令和2年3月3日告示第11号)
この告示は,公布の日から施行する。
別表(第8条第3項)
調査方法 | 調査事項 | 管理項目 | 受水槽 | 高架水槽 |
施設の外観調査(※1) | 周囲の状態 | 点検,清掃又は修理等に支障のない空間が確保されていること。 | ○ | ○ |
清潔であり,ごみ,汚物等が置かれていないこと。 | ○ | ○ | ||
水槽周辺にたまり水,湧水等がないこと。 | ○ | ○ | ||
本体の状態 | 内部の点検,清掃,修理等に支障のない形状であること。 | ○ | ○ | |
亀裂,漏水箇所がないこと。 | ○ | ○ | ||
雨水等が入り込む開口部や接合部の隙間がないこと。 | ○ | ○ | ||
水位電極部,揚水管等の接合部は,結合され防水密閉されていること。 | ○ | ○ | ||
上部の状態 | 水槽上部は水たまりができない状態であり,埃その他衛生上有害なものが堆積していないこと。 | ○ | ○ | |
水槽の蓋の直接上部には他の設備機器等が置かれていないこと。 | ○ | ○ | ||
水槽の上床盤の直接上部には汚染するおそれのある設備機器等が置かれていないこと。 | ○ | ○ | ||
内部の状態 | 汚泥,赤錆等の沈積物,槽内壁や内部構造の汚れ,塗装の剥離等が異常に存在しないこと。 | ○ | ○ | |
掃除が年1回程度定期的に行われていることが明らかであること。 | ○ | ○ | ||
外壁塗装の劣化等により光が透過する状態になっていないこと。 | ○ | ○ | ||
当該施設以外の配管設備が設置されていないこと。 | ○ | ○ | ||
受水口と揚水口が接近していないこと。 | ○ | ○ | ||
水中及び水面に異常な浮遊物質が認められないこと。 | ○ | ○ | ||
マンホールの状態 | 蓋が防水密閉型のものであって,埃その他衛生上有害なものが入らないものであること。 | ○ | ○ | |
点検等を行う者以外の者が容易に開閉できないものであること。 | ○ | ○ | ||
マンホール面は,槽上面から衛生上有効に立ち上がっていること。 | ○ | ○ | ||
オーバーフロー管の状態 | 管端部から埃その他衛生上有害なものが入らない状態にあること。 | ○ | ○ | |
管端部の防虫網が確認でき正常であること。 | ○ | ○ | ||
防虫網の網目の大きさは小動物の侵入を防ぐのに十分なものであること。 | ○ | ○ | ||
管端部と排水管の流入口とは直接連結されていないこと。 | ○ | ○ | ||
管端部と排水管の流入口との間隔は,逆流防止に十分な距離であること。 | ○ | ○ | ||
通気管の状態 | 管端部から埃その他衛生上有害なものが入らないこと。 | ○ | ○ | |
管端部の防虫網が確認でき正常であること。 | ○ | ○ | ||
防虫網の網目の大きさは小動物の侵入を防ぐのに十分なものであること。 | ○ | ○ | ||
通気管として十分な有効断面積を有するものであること。 | ○ | ○ | ||
水抜管の状態 | 管端部と排水管の流入口とは直接連結されていないこと。 | ○ | ○ | |
管端部と排水管の流入口との間隔は,逆流防止に十分な距離であること。 | ○ | ○ | ||
給水管等の状態 | 当該施設以外の配管設備と直接連結されていないこと。 | ○ | ||
水を汚染するおそれのある設備の中を貫通していないこと。 | ○ | |||
給水栓における水質検査 | 臭気 | 異常な臭気が認められないこと。(※2) | ○ | |
味 | 異常な味が認められないこと。(※2) | ○ | ||
色 | 異常な色が認められないこと。(※2) | ○ | ||
濁り | 異常な濁りが認められないこと。(※2) | ○ | ||
残留塩素 | 検出されること。(※3) | ○ | ||
書類調査(※4) | 書類の整理保存の状況 | 貯水槽水道の設備の配置及び系統を明らかにした図面が整理保存されていること。 | ○ | |
貯水槽周辺の構造物の配置を明らかにする平面図が整理保存されていること。 | ○ | |||
水槽の掃除の記録が整理保存されていること。 | ○ | |||
その他必要な帳簿書類が整理保存されていること。 | ○ |
※1 貯水槽水道の維持管理の状態がその水質に一見明白な障害を与えるおそれのあるものであるか否かを調査するもので,水槽の水を抜かずに判断できる範囲で調査する。
※2 水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)による検査とは異なり,一見明白な水質の異常の有無について検査する。ただし,「味」については,他の検査項目において異常を認めたときは検査しない。
※3 水道水の長時間の滞留,水槽又は管の汚れ,汚水等による汚染等により残留塩素が消費されることに着目した水質判断の指標の1つであり,不検出の場合には,他の検査の結果を勘案し原因を総合的に判断する。
※4 貯水槽水道の設置者等がこれらの書類を整理し保存することは,その管理をより実行あらしめるために必要であると考えられるので,その趣旨を指導し,必要に応じて書類の整理及び保存の状況について調査する。