○三芳水道企業団作名ダム管理規程
平成18年3月9日
規程第8号
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は,作名ダム(以下「ダム」という。)及び作名貯水池(以下「貯水池」という。)の管理並びにダムの操作方法に関し必要な事項を定めるものとする。
(ダム及び貯水池の諸元)
第2条 ダム及び貯水池の諸元は,別表第1のとおりとする。
(ダムの用途)
第3条 ダム及び貯水池の用途は,都市用水及びかんがい用水とする。
第2章 ダムの管理
(ダム管理事務所)
第4条 館山市作名570番地の1作名浄水場内にダム管理事務所を置く。
(ダム管理主任技術者)
第5条 ダム管理事務所(館山市作名)に河川法(昭和39年法律第167号。以下「法」という。)第50条第1項に規定する管理主任技術者(以下「ダム管理主任技術者」という。)を置く。
2 ダム管理主任技術者は,三芳水道企業団職員を指揮監督し,法令並びにこの規程の定めるところにより,ダム及び貯水池の維持,操作その他の管理を適切に行わなければならない。
(管理の区分)
第6条 ダムの管理は,計測,点検,精密調査及び補修その他の措置に区分する。
(管理期間の区分)
第7条 ダムの管理期間は,次の各号に掲げる期間に区分する。
(1) 第1期 湛水開始から満水以降期間(2箇月以上)を経過するまでの期間
(2) 第2期 第1期経過以後ダムの挙動が定常状態に達するまでの期間
(3) 第3期 第2期経過以降の期間
(管理のための基礎資料)
第8条 ダム管理主任技術者は,次の各号に掲げる書類を整備し,ダム管理事務所に保管するものとする。
(1) ダム施設概要調査表
(2) 地質に関する資料
(3) 水文及び気象資料
(4) 貯水池,ダム本体等の計画書及び設計計算書
(5) 設計図又は竣功図
(6) 施工記録
(7) その他ダム管理主任技術者が必要と認める資料
(管理の記録)
第9条 ダム管理主任技術者は,ダムの計測及び点検の結果並びに精密調査及び補修その他の措置の経過及び結果を次の各号に定めるところにより記録し,ダム管理事務所に保管するものとする。
(1) 計測記録 表又はグラフにより記載するものとする。
(2) 点検記録 点検の結果を詳細かつ明確に記載するものとし,必要があると認めた場合は図面又は写真等を添付するものとする。
(3) 精密調査記録 調査を必要とした理由,調査方法,経過及び結果を記載するものとする。
(4) 補修その他の措置の記録 措置の年月,措置を必要とした理由,措置方法及び結果を記載するものとし,その措置の詳細を示す仕様書,設計図,諸試験資料,写真又はその他必要と認めた資料を添付するものとする。
(1) 貯水池の水位は,ダム本体に取り付けられた水位計により測定するものとする。
(2) 貯水池の堆砂の計測は,河川縦横断測定によるものとする。
(3) 漏水量,揚圧力の計測は,個々の値を定時に計測するものとする。
3 ダム管理主任技術者は,第1項に規定する計測を行うための設備が良好な状態を保持できるように管理しなければならない。
(点検)
第11条 ダム管理主任技術者は,ダム本体,ダム取付部周辺地山,バルブ,高欄,照明及びハシゴの状態を監視するためにこれらの点検を行うものとする。
2 前項に規定する点検は,定期点検及び臨時点検とする。
2 ダム管理主任技術者は,第1項に規定する定期点検を行うための設備が良好な状態を保持できるように管理しなければならない。
(臨時点検)
第13条 ダム管理主任技術者は,次の各号に掲げる規模以上の事象が発生したとき又は発生する恐れがあると思われるときは速やかに臨時点検を行うものとする。
(1) 地震 震度階4以上
(2) 降雨 1日100ミリメートル
(3) 水位の昇降 1日上下5メートル
2 ダム管理主任技術者は,前項の場合において臨時点検の結果を定期点検の結果に対比させ,各点検か所の状態の変化に注目するものとする。
(精密調査)
第14条 ダム管理主任技術者は,計測又は点検によりダム本体,ダム取付部周辺地山又はバルブ等に変化が認められ,かつ,詳細な調査を実施する必要があると判断した場合は,精密調査を行い,その原因の把握に努め,追加して行う計測又は点検若しくはそれらの方法を定めるものとする。
2 精密調査は,ダムの設計,施工及び管理についての知識と経験を有する技術者が調査すべき項目,調査手順及び調査方法その他必要な事項を定めて行うものとする。
3 ダム管理主任技術者は,前項の精密調査を行う場合において現場調査を実施するに当たっては,ダムに悪い影響を及ぼさないようにその位置及び規模を検討して調査方法を決定するものとする。
4 ダム管理主任技術者は,第2項の規定による精密調査の実施中においては常にその状況の把握に努め,必要と認めるときは調査方法に修正を加えるものとする。
(補修その他の措置)
第15条 ダム管理主任技術者は,前条の規定による精密調査の結果,補修が必要と認められる場合は速やかにこれを実施してダムの安全を確保し,その機能が保持されるよう努めなければならない。
2 ダム管理主任技術者は,計測又は点検の結果,漏水量又は変形等のダムの挙動に異常が生じ,かつ,当該異常が急速に増加の傾向を示す場合は臨機に止水措置又は貯水位の制限等の応急措置を行うものとする。
第3章 ダムの操作
(貯水池の用途別利用)
第16条 都市用水は,標高48メートル20センチメートルから標高34メートル50センチメートルまでの貯水池容量(59万立方メートル)を利用し,取水するものとする。
2 かんがい用水は,前項に規定する都市用水のうち必要量(1日当たり1,000立方メートル)を毎年4月1日から8月31日までの期間,元河川に放流するものとする。
(洪水警戒体制)
第17条 ダム管理主任技術者は,次の各号のいずれかに該当する場合は洪水警戒体制をとらなければならない。
(1) 測候所から降雨に関する警報が発せられたとき。
(2) 貯水池の水位が標高49メートル70センチメートルになったとき。
(1) 館山市及び他の関係機関との連絡並びに気象,水位に関する観測及び情報の収集を密にすること。
(2) 最大流量及び最大水位上昇の予測を行うこと。
(3) バルブの全開操作に必要な機械又は器具の点検及び整備並びに電源の点検を行うこと。
3 ダム管理主任技術者は,ダムの水位が危険水位(標高50メートル20センチメートルをいう。)を上回ると予測された場合は直ちに各バルブを全開にして放流しなければならない。
4 ダム管理主任技術者は,洪水警戒体制を維持する必要がなくなったと認める場合は,これを解除しなければならない。
(点検及び整備)
第18条 ダム管理主任技術者は,ダム本体又はバルブを操作するために必要な機器等を常に良好な状態に保つため,それらの点検及び整備をしなければならない。
附則
この規程は,公布の日から施行する。
別表第1(第2条)
ダム諸元
高さ | 26.2メートル | |
堤頂長 | 145.0メートル | |
堤頂の標高 | 51.2メートル | |
越流頂の標高 | 48.2メートル | |
洪(余)水吐 | 形式 | 正面越流型 |
最大放流能力 | 42立方メートル毎秒 | |
断面 | 越流水深2.0メートル×越流巾7.0メートル | |
設計洪水流量 | 42立方メートル毎秒 | |
貯水池内取水施設 | 取水方法 | 直接取水 |
最大取水量 | 0.08立方メートル毎秒(6,912立方メートル毎日) |
貯水池諸元
直接集水地域の面積 | 1.07平方キロメートル |
間接集水地域の面積 | 1.56平方キロメートル |
湛水区域の面積 | 0.085平方キロメートル |
最大背水距離 | 1.9キロメートル |
設計洪水位 | 標高 50.2メートル |
常時満水位 | 標高 48.2メートル |
最低水位 | 標高 34.5メートル |
総貯水容量 | 630,000立方メートル |
有効貯水容量 | 590,000立方メートル |
堆砂容量 | 40,000立方メートル |
備考 満水位は,洪水時又は余剰水の放流時を除き上昇を図ってはならない。
別表第2(第10条第1項)
その1(定期の計測回数を定めるもの)
計測項目 | 計測回数 |
水位 | 毎日1回 |
取水量 | 毎日1回 |
放流量 | 毎日1回 |
気温 | 毎日1回 |
降雨量 | 毎日1回 |
水質 | 毎日1回 |
水温 | 毎週1回 |
貯水池の堆砂量 | 毎年1回 |
その2(管理期間の区分により計測回数を定めるもの)
計測項目 | 計測回数 | |||
ダムの管理期間 | 備考 | |||
第1期 | 第2期 | 第3期 | ||
漏水量(監査廊) | 毎日1回 | 毎週1回 | 毎月1回 | |
揚圧力(監査廊) | 毎週1回 | 毎月1回 | 3月に1回 | 漏水量が比較的少なく,かつ,揚圧力が小さいものについては省略してもよい。 |
堤体,地山等に漏水箇所のある場合の漏水量 | 漏水開始直後20日を経過する日までは,1日1回とし,20日を経過した日以降は,当該漏水の状況により別に定める。 |
備考 各管理期間における計測データの検討結果により,それ以降の計測回数を変更できる。
別表第3(第12条)
点検項目(留意事項) | 点検回数 | |||
ダムの管理期間 | ||||
第1期 | 第2期 | 第3期 | ||
ダム本体 | 漏水(従来の漏水個所の漏水量の変化及びその濁りの有無並びに新しい漏水個所の有無) | 毎週1回 | 毎月1回 | 年4回 |
コンクリートのひび割れ(ひび割れの有無及びその発達の状態) | ||||
堤体の劣化(コンクリートの劣化の有無) | ||||
摩耗(洪水吐コンクリートの摩耗及び剥離の有無) | ||||
水叩の洗掘(水叩,シル及びシル直下流の河岸の洗掘の有無) | ||||
その他外観上の異常の監視 | ||||
ダム取付部周辺地山(漏水,亀裂,崩落,地すべり等の有無) | ||||
バルブ等(漏水,取水口における障害物,機器の損傷,変形及び潤滑油の状態並びに駆動部の作動状況等) | 毎月1回 | |||
照明,ハシゴ等(腐食,断線等の有無) | 毎月1回 |
備考 ダム本体及びダム取付部周辺地山については,第2期又は第3期以降であっても異常が認められる場合にあっては,第1期に準ずるものとする。